ノハ#゚⊿゚) ヒートは全力を尽くすようです!!  2スレ目
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--/--|スポンサー広告||TOP↑

3 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:01:11.03 ID:2ump5b2uO
Episode6、地獄にて

頬を生暖かい液体がつたるような感覚とともに、意識が舞い戻ってきた。

( ^ω^)「……僕は誰だお?」

周囲にあるのは瓦礫の山。
赤黒い水たまりや肉片も視界に入る。

( ^ω^)「何も思い出せないお……」

頭に浮かんでくるのはたった2つの事柄のみ。

1つはブーンという響き。
もう1つは金髪の少女の顔。

4 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:02:43.61 ID:2ump5b2uO
( ^ω^)「ツン……」

意図せず口から言葉が漏れる。
ツン、それが彼女の名前だろうか?

考えごとをしつつ、手を顎に添えてみる。
ニチャリとした感触が伝わってきた。

( ^ω^)「手に血がついてるお」

不思議に思って自分の体に視線をやると、全身血まみれなことに気がついた。
しかしおかしなことに、体はどこも痛まない。

( ^ω^)「とりあえずここから出るお」

早いところ辛気臭い廃墟を抜け、どこか人がいそうな場所を探すことにしよう。

5 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:05:06.74 ID:2ump5b2uO
廃墟を出てすぐに川を見つけた。
流れが穏やかな上、見た感じ胸から上が水上に出る程度の深さである。

( ^ω^)「血を洗い流すお」

手を水に浸してみた。
適度な水圧が心地よい冷たさを押し付けてくる。

( ^ω^)「気持ちいいお」

何故だかわからないが、子ども時代のことがおぼろげに頭に浮かんできた。
どうやら僕はあまり大人しい方ではなかったみたいだ。

( ^ω^)「あの頃の僕ならこうすると思うお」

独り言をついた後、僕は川に飛び込んだ。

6 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:06:31.03 ID:2ump5b2uO
( ^ω^)「いい天気だお」

雲一つない空が、暖かな陽射しの雨を降らす。

僕は太陽が好きだ。
心を綺麗にしてくれるような気がする。

川 ゚ -゚)「そこの御人、聞きたいことがある」

( ^ω^)「お?」

川に足を入れながらぼーっと空を眺めていたところ、一人の女性が話し掛けてきた。
切れ長の目が印象的な美人だ。

川 ゚ -゚)「この写真の少女を見なかったか? 私の妹なんだ」

『ノパ⊿゚)』

目の前の女性と違っておてんばそうな少女だ。
ただし目元はそっくりなため、姉妹だということはよく分かる。

7 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:08:18.06 ID:2ump5b2uO
( ^ω^)「ごめんお、心当たりがないお」

川 ゚ -゚)「そうか、手間を取らせて悪かった」

別に落胆した様子も見せず、そのまま行き過ぎようとする。

と、不意に視界が黒く濁ってきた。
頭の中に声が響き出す。

『殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ……』

川 ゚ -゚)「ん?」




次に僕が見た光景は、赤く染まった川だった。

9 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:11:47.75 ID:2ump5b2uO
僕自身も再び血まみれになっている。

( ^ω^)「変だお?」

自分の体についていた血はとうに洗い流したはずだ。
そういえば、さっきの人の姿が見えない。

( ^ω^)「……まさか僕が」

気を失いながら人を殺したというのか?
ジキルのような多重人格者でもあるまいし、そんなことは……。

駄目だ、断言できない。

僕は自分が誰なのか分からないし、それが何故なのかも知らない。
本当に、何も分からないんだ。

(  ω )「うああああああああああっ!」

僕は何者だ?
記憶喪失? 多重人格者? それとも狂った殺人鬼?

10 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:13:28.17 ID:2ump5b2uO
⊂二二二二( ;ω;)二二二つ「ぶううううううううんっ!」

ああ、そういえばつらい時はこうして両手を広げて走ったっけ。

⊂二二二二( ;ω;)二二二つ「うおおおおおおお!」

ただ、ここまで早く走れたものだろうか。
普通じゃ有り得ない程の早さで景色が流れていく。

遥か遠くに見えた町が、見るみる近付いてきた。

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン! ブーンなのっ!?」

町の入口辺りに、僕へ向けて手を降る少女がいる。
その顔は、先に思い浮かんだ金髪の少女のそれと同じだった。

11 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:15:49.62 ID:2ump5b2uO
ξ*゚⊿゚)ξ「本当に心配したんだから!」

( ^ω^)「ツン……ツンなのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたがいなくなってから毎日こうして帰りを待ってたんだからね! 感謝なさい!」

ξ////)ξ「べっ、別にあんたのためじゃないのよ!
    ……そう、知り合いが行方不明だと後味が悪いから、それでなんだからねっ!」

ああ、とても懐かしくて暖かい感じがする。
この少女、ツンといれば、僕はきっと失った記憶を……

『殺せ』

頭の中に冷たい声が響いた。

(; ω )「だっ、駄目だお! ツンは、ツンだけは!」

ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン……?」

くそっ、体が勝手に動く。

『殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ……』

うるさい、うるさい、うるさい!

12 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:18:30.13 ID:2ump5b2uO
ξ;⊿;)ξ「苦しい……」

いつのまにか僕の右腕はツンの首を絞めていた。

(; ω )「くっ……うぎゃああああっ!」

僕は辛うじて動く左手で右手首を握り潰した。
嫌な音をたてた後、右手が力無く垂れ下がる。

ξ;⊿;)ξ「けほっ、けほっ!」

解放されたツンは、地面に倒れ込んで咳込む。

ξ;⊿;)ξ「ブーン……私だよ? あなたの……恋人の……ツンだよ?」

(; ω )「近づいたら駄目だお!」

ξ;⊿;)ξ「私は……あなたから逃げたりはしな……」





何かが潰れるような音が鳴り響いた。

13 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:20:21.75 ID:2ump5b2uO
目の前に転がる生首。

( ^ω^)「ツン………」

首が潰されたむごたらしい死体。

『殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ』

( ;ω;)「あっははははははははははは!」

馬鹿だ、僕は世界一の馬鹿だ。
最愛の彼女をこの手で殺……

14 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:21:59.63 ID:2ump5b2uO
気がつくと、僕は町の真ん中にいた。
全てが壊れているので、正しくは"元"町といったところか。

壊れてしまったのは、何も建物だけではない。

( ;ω;)「殺してやる、殺してやる!」

( ;ー;)「いやっ、い……がっ、がぼがぼ……」

血の泡を吹き、白目を向きながら激しく痙攣する。
最後の住民がたった今壊れたのだ。

( ;ω;)「ぜっっったいに、殺してやるお!」

僕をこんな体にしたやつを何としてでも見つけ出して殺そう。

恐怖に引きつる顔を見ながら、指を一本ずつ潰し、舌を細切れにし、耳を引きちぎる。
頭皮ごと髪を引き抜き、性器を踏み付け、最後は首をぐちゃぐちゃにする。

( ;ω;)「あーっはっはっはっはははは……ううっ……」

壊れてしまったのは、僕自身なのかもしれない。

16 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:24:27.65 ID:2ump5b2uO
Episode7、道中にて

ノパ⊿゚)「それで、ばつはこれからどうするの?」

|l|*゚ー゚)「勿論ヒートに着いていくのです!」

ノパ⊿゚)「一応言っておくけど、私はあなたのおねーさまとやらに喧嘩を売りに行くんだよ?」

|l|*゚ー゚)「だからこそ、平和的かつ妥当な解決をするためにばつが一肌脱ぐのですよ!
   それにばつだって今のお姉様の研究をよくは思わないのです」

ノハ*゚⊿゚)「よし、それなら一緒に頑張ろうねえええええっ!!」

|l|*゚ー゚)「なのです!」

17 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:26:29.48 ID:2ump5b2uO
ノパ⊿゚)「ところでさ」

|l|*゚ー゚)「なんなのです?」

ノパ⊿゚)「いや、ばつもチップを埋め込まれてるのかなーって。
  ほら、私のチップがあなたに対して殺意を発させないから」

|l|*゚ー゚)「ああ、それはこの機械のおかげなのです」

そう言ってばつが取り出したのは銀色の小さな直方体。
一本だけ真っ直ぐ突き出たアンテナが印象的だ。

|l|*゚ー゚)「この機械はチップを無効化する電波を出すのです」

ノハ;゚⊿゚)「うわー、あからさまな便利グッズ。
  行きあたりばったり臭がプンプンする」

|l|*゚ー゚)「あはは……確かに取ってつけた感はあるのですが、Episode4を見るとその記述があるのです」

ノパ⊿゚)「ちぇっ」

|l|;゚ー゚)「しゅっ、主人公さーん?」

ノハ;゚⊿゚)「えへへへへ、何でもない何でもない」

|l|;゚ー゚)「うーん、びっみょーな空気なのです」

ノハ;゚⊿゚)「あー、じゃあこの空気はここで区切り!!!!
  次のレスでは元通りってことでえええええええっ!!!!」

18 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:28:25.81 ID:2ump5b2uO
ノパ⊿゚)「んじゃ、研究所向けて出発しようか!!!!!
  えーっと、案内はばつに頼っちゃっていいかな!!?」

|l|*゚ー゚)「それはいいのですが、正直現在地が分からないのです」

ノハ;゚⊿゚)「あー、そういや吹き飛ばされちゃったもんね」

|l|*゚ー゚)「そこで、これを使うのです!」

ノハ;゚⊿゚)「うわっ、どこでもドアじゃん!!!
  ギャグがシリアスに転向することはよくあるけど、もしかしてこの話はその逆?」

|l|*゚ー゚)「なのですかねぇ? ま、とっとと移動しちゃうのです」

ノパ⊿゚)「だねっ!!!!」

19 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:31:34.05 ID:2ump5b2uO
ドアを開けた先には、大きなドーム状の建物があった。
私達は一旦、近くのしげみに隠れて作戦を練る。

|l|*゚ー゚)「始めに言っておくのですが、このドア型空間移転装置では研究所内に入れません。
   というのも、この機械の移動先はこの旗のある辺りのみだからなのです。
   形はまんまどこでもドアですけど、現実は厳しいのです」

ばつはそう話しつつ、手の平サイズの旗を取り出した。
要はドアの出口を示す目印みたいなものだと思う。

|l|*゚ー゚)「とりあえずこの旗はここに埋めとくのです。
   いざという時に逃げ切るための保険なのです」

ノパ⊿゚)「そうだね、ここは背の高い草が隠れ蓑になってくれるし」

|l|*゚ー゚)「まあ、できればこれを活かさずに済ませたいのです」

確かにそんな切羽詰まった状況には陥りたくないもんだ。
とはいえ備えあればなんとやらとはよく言うし、こういう姿勢は大切にすべきだろう。

21 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:33:29.91 ID:2ump5b2uO
ノパ⊿゚)「さて、ここで問題が一つ」

|l|*゚ー゚)「ドクオさんのことなのですね?」

ノパ⊿゚)「うん、ばつはここでドクオを待った方がいいと思う?
  それともこのまま突っ込んじゃいたい?」

|l|*゚ー゚)「すぐに突っ込むべきだと思うのです。
   ばつとしては、一刻も早くお姉様を元に戻したいのです」

ノパ⊿゚)「私も同感、ってことで早速正面から……」

|l|;゚ー゚)「ちょっ、ちょっと待ったなのです!」

ノパ⊿゚)「ん?」

|l|*゚ー゚)「すぐに突っ込むと言ったのは言葉の綾というか……
   とにかく、ばつが研究所について説明するので、まずはそれを聞いて欲しいのです」

ばつはその小さな口で、至極真っ当なことを言う。
私は焦るあまり先走ろうとしていた自分を恥じた。

22 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:36:06.47 ID:2ump5b2uO
|l|*゚ー゚)「お姉様の研究所は……まあ、その研究内容柄、なかなか敵も多いのです。
   だから当然、セキュリティも厳重なのです。
   ただしある時間を除いては、なのですが」

警備が薄くなる時間というと、やはり深夜や早朝だろうか。
そんな私の考えをばつに告げたところ、彼女は首を振ってこう言った。

|l|*゚ー゚)「実は真昼なのですよ、警備が手薄な時間帯は」

ノハ;゚⊿゚)「真昼!!?」

|l|*゚ー゚)「ここの警備は基本的に機械が全自動で行うのです。
   機械は三つの部隊に分けられていて、それぞれ朝、昼、夜の時間を受け持っているのです」

ノパ⊿゚)「ああ、つまり昼の間は弱い部隊が担当なの?」

|l|*゚ー゚)「いいえ、最強の部隊が当てられています」

23 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:38:45.45 ID:2ump5b2uO
ノパ⊿゚)「それならどうして昼が安全だっていうの?」

|l|*゚ー゚)「実は1番安全な時間帯は、1番危険な時間の合間にある1~2時なのです。
   その時間はほとんどの機械を休めるための時間、言わば機械達の休憩タイムなのです。
   実のところ、常に見張りをさせられるほどお金に余裕がないのです」

なるほど、やっと合点がいった。
敢えて昼時に強い部隊を設置しているのは、敵が休憩中に進入するのを防ぐためなのだろう。
休憩の存在を知らない人は、わざわざ強い部隊の守る真昼に襲撃しようとは思わないはずだから。

ノパ⊿゚)「今はもう夕方だから、研究所に入るのは明日だね!!」

|l|*゚ー゚)「そうですね、今夜は野宿しつつ、明日に備えて作戦を練るのです」

ノパ⊿゚)「うん、そうしよう!!!!!」

26 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:40:36.79 ID:2ump5b2uO
寝床用の落ち葉とたき火のための枝を集め終えるころには、すっかり日が暮れてしまっていた。

ノハ*゚⊿゚)「あったかあああああい!」

燃え盛るたき火に手をかざしていると、そんな言葉が口から無意識に飛び出てきた。

|l|*゚ー゚)「ええ、落ち着くのです」

ばつはぼーっとした様子だ。
彼女のそんな表情は、なんだかイメージとそぐわないようで面白かった。

ノパ⊿゚)「私にもね、クールっていう名前のお姉ちゃんがいるんだよ」

|l|*゚ー゚)「ヒートはその人のこと好きなのですか?」

ノパー゚)「うん、大好きだよ!!!!」

|l|*゚ー゚)「それはよかったのです」

ノパ⊿゚)「……ばつは素敵な人になれるだろうね」

|l|*゚ー゚)「どうしてなのですか?」

ノパ⊿゚)「だって他人の幸福を素直に喜べる人って、みんな素敵だと思わない?」

|l|*゚ー゚)「そうですね……期待に添えるよう頑張るのです」

27 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:42:07.04 ID:2ump5b2uO
|l|*゚ー゚)「ヒート」

ノパ⊿゚)「ん?」

|l|*゚ー゚)「お互い元の生活を取り戻せるよう、頑……」

私は無言で手を差し出した。
ばつも言葉を止め、しっかりと握り返してくる

ノパー゚)「私達は……妹同盟ね」

|l|*゚ー゚)「あはは、それは何なのですか?」

ノパー゚)「何だっていいよ、なんとなくそんな感じがしただけだから」

苦笑いを浮かべるばつの顔は、少しお姉ちゃんのそれと似て見えた。
明日は頑張ろう、私は心の中でそう誓った。

28 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:43:56.55 ID:2ump5b2uO
Episode7、道中にて(ドクオサイド)


('A`)「まさかはぐれちまうなんてな」

ばつのやつが使った爆弾は、俺をかなり遠くまで吹き飛ばしたようだ。
チップの力がなかったら確実に死んでいただろう。

('A`)「あいつら大丈夫かね?」

ま、ばつは悪いやつじゃない。
熱血なヒートならなんとか説得できるだろう。
もっとも彼女らが一緒の場所に飛ばされたとは限らないが。

('A`)「とりあえず、俺の方も単独で高岡研究所を目指すとするかね」

29 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:45:40.36 ID:2ump5b2uO
俺が現在いる場所は自然多き街道。
人は見当たらない。

('A`)「うーん、なるべくこのまま人に会わずに済ませたいものだが」

山に入る道でも探そう、そう思った時のことだった。

(;'A`)「なっ!?」

背筋がゾクリとした。

冷汗が頬をつたる。
背後から何か危険なものが近付いて来ていると、全身が訴えかけている。

「聞きたいことがあるお」

強風を纏って接近して来たそれが、背中越しに声をかけてきた。

30 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:48:31.15 ID:2ump5b2uO
前原圭一並にクール(KOOLであってCOOLでない)な俺は、すぐにことの異常さに気がついた。
そう、現在の俺は理性を保てている。
つまりこいつはチップを埋め込まれているか、もしくはそれを無効化する手段を得ている。

('A`)「あんたもチップを埋め込まれた口かい?」

俺は焦りを隠し、振り向きながらそう聞いた。

( ^ω^)「チップ……? あんた、この現象について何か知ってるのかお!?」

思ったより抜けた顔をしていた男は、真剣な顔で聞き返してきた。
血で真っ赤に染まった服が、いやに目についた。

('A`)「とりあえず、俺の知る限りを話そうか。
  それと、湧き水でも使って服を洗った方がいいな」

32 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:49:59.28 ID:2ump5b2uO
('A`)「……というわけで、俺は高岡研究所をぶっ潰すつもりなんだ」

全てを話し終え、ほっと息をつく。
説明の間、男は終止無言であった。

(  ω )「高岡……そいつが……」

先ほどより低い声でそう呟く。

('A`)「よかったらお前も協力してくれないか?」

機嫌の悪そうな彼に、俺は恐る恐る話し掛けた。

( ^ω^)「おっおっお、もちろんだお」

しかし幸いなことに、返ってきた声は存外に明るいものであった。

34 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:51:26.29 ID:2ump5b2uO
Episode8、研究所内にて


|l|*゚ー゚)「さて、心の準備はいいのですか?」

ノハ*゚⊿゚)「もちろんっ!!!!!」

|l|*゚ー゚)「それでは、突入開始なのです!」

ばつの声を合図に、私は炎で研究所の壁を溶かして穴を作った。
ここから入るとハインリッヒの部屋に近いそうだ。

35 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:53:00.00 ID:2ump5b2uO
焦げ臭い入り口をくぐり抜け、室内へと進入する。
そこはいかにも研究所らしい雰囲気であり、壁の数箇所からはむき出しの配線が顔を覗かせていた。

( ゚∀゚)「侵入者発見、侵入者発見」

近くにある扉を開け、人型機械が姿を表した。

ノパ⊿゚)「ばつ、もしかしてあれが警備……」

その瞬間、私の横を通り抜ける一陣の風。

|l|*゚ー゚)「やあっ!」

風の正体はばつ。
筋強化ウサミミをつけた彼女は、即座に機械の頭を蹴り飛ばした。

( ゚∀゚)「モード移行、索敵より戦……」

|l|*゚ー゚)「たっ!」

よろけながら話す機械に、間髪おかず肘鉄をかける。

(#゚∀゚)「いってえなああああああ! 糞っ、もう許さねえぞ!」

ノハ;゚⊿゚)「機械が切れたぁ!!?」

|l|*゚ー゚)「ええ、あいつは人工知能付き戦闘兵器で、ジョルジュというのです。
   ちなみに量産向け兵器としては最新なのです」

37 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:54:34.22 ID:2ump5b2uO
( ゚∀゚)「おらっ!」

ジョルジュは右手を剣のように変形させ、ばつに斬りかかる。
しかし刃は空を斬るに終わった。

|l|*゚-゚)「何故このタイプの機体がこの時間帯に……」

ジョルジュを飛び越えて後ろへと回り込みつつ、ばつが愚痴るように呟く。

( ゚∀゚)「今日は特別でなっ!」

そう叫んだ途端、ジョルジュの背中から刃が飛び出した。

|l|;゚ー゚)「……っ!」

ノハ#゚⊿゚)「させるかあああああああっ!」

私は両手から青い炎を出すと、ジョルジュ目掛けて放った。

(;゚∀゚)「な……」

その言葉を最後に、彼は機能を停止した。

39 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:57:10.17 ID:2ump5b2uO
|l|;゚ー゚)「たっ、助かったのですよ……」

ノパ⊿゚)「ううん、気にしないで!!」

にしても、さっきの炎は怒りで引き起こしたものだった。
一昨日の時点では上手く制御できなかったはずだが、それなら何故今回は?

|l|*゚ー゚)「おーい、ヒート?」

ノパ⊿゚)「あっ、ごめん……考え事してた!!!」

|l|*゚ー゚)「それならもう一回言うのです。
   ヒート、恐らくお姉様は私から情報が漏れるのを恐れ、休憩時間を変更したようなのです」

ノパ⊿゚)「どうしてそんなことが分かるの?」

|l|*゚ー゚)「先に言ったようにジョルジュは量産型としては最新兵器だったのです。
   言うなれば高岡研究所のエース、休憩時間にそんなのが動く筈がないのです」

40 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 20:59:45.14 ID:2ump5b2uO
あれがエース?
その割には、案外脆かった気がする。

私のそんな考えは、もろに表情に出ていたらしい。
口に発していないその疑問に対し、ばつが言葉を寄越した。

|l|*゚ー゚)「ヒートの力は、恐らくかなり手のこんだものなのですよ。
   なんせお姉様が最も注目した対象なのですから」

ああ、そういえばこの子が私を狙ってきたのも、
ハインリッヒが私ともう一人につきっきりだったのが原因だったらしいもんね。

ノパ⊿゚)「しかしまあ、どうしてその手術の対象を私にしたんだろう?
  手術後に私を外に逃がした意図も分からない」

|l|*゚ー゚)「うーん……、そこら辺の疑問は直接お姉様に聞くべきなのです」

そう言って、さっきジョルジュが出てきた扉を指差す。

|l|*゚ー゚)「ここから3部屋抜けたところがお姉様の部屋なのです」

41 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:02:53.80 ID:2ump5b2uO
扉の先にあったのははかなり大きな部屋だった。

床の中央にはこれまた大きな穴が空いていたが、壁際には歩ける場所があるから問題はない。
警備も特にいないようである。

|l|*゚ー゚)「変なのです、前まではこんな穴なんて無かったのです」

ノパ⊿゚)「うーん、地下でも増設するつもりだったとか!?」

|l|*゚ー゚)「にしては急なような……まあ、気にしても仕方ないのです」

42 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:05:17.98 ID:2ump5b2uO
ノパ⊿゚)「よし、それじゃあ奥に行こっか!!!」

私は次の部屋の扉を開け、足を踏み入れようとした。

|l|;゚ー゚)「ヒートっ!」

やや後方から切羽詰まったような声が聞こえる。

ノパ⊿゚)「ん!?」

ばつの方を振り向いた瞬間、何者かに首を掴まれる感触を感じた。

ノハ;゚⊿゚)「うっ……」

もがいてもその手は離れない。
私はそのまま扉の先へと引っぱり込まれた。

44 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:08:25.55 ID:2ump5b2uO
私が次の部屋へと引きずり込まれると、扉は勢いよく閉まった。

ノハ;゚⊿゚)「開かない!」

どれだけ力を篭めても、扉はびくともしなかった。

「きゃあああああっ!」

向こうの部屋からばつの悲鳴が聞こえる。

ノハ;゚⊿゚)「くっ、こうなりゃ炎で……」

「待ってください」

背後から幼げな声がした。
恐らく私を引きずりこんだ者のそれだろう。

ノハ;゚⊿゚)「っ!?」

自分の無防備さに気付き、慌てて後ろを振り向く。
そこにいたのはばつよりもさらに幼い少女だった。

45 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:10:24.11 ID:2ump5b2uO
*(‘‘)*「お姉さん、私と遊びましょう」

可愛らしく小首を傾げ、にこりと笑いかけるツインテールの彼女。
しかし油断はならない。

*(‘‘)*「ああ、申し遅れました。私、ヘリカルといいます」

ノパ⊿゚)「私は……」

*(‘‘)*「素直ヒートさん、でしたよね?」

やはりこいつは高岡関連のやつなんだな。
分かり切っていたことを、改めて理解する。

ノパ⊿゚)「で、ヘリカルの目的は?」

*(‘‘)*「はい、あなたに死んでいただくことです」

46 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:12:31.95 ID:2ump5b2uO
*(‘‘)*「先に言っておきますが、
  ジョルジュさんみたいな量産を視野に入れたタイプと一緒にしない方がいいですよ」

ヘリカルはそう言うと、背中から大剣を引き抜いた。
銀色の刀身が妖しく光る。

*(‘‘)*「さあ、始めましょう」

ノパ⊿゚)「どうしても戦わなきゃならないの?」

*(‘‘)*「そうですね……」

ヘリカルが視界から消える。

*(‘‘)*「あなたがこれで死ねば戦わずに済むと思います」

背中越しに伝わる声。
首に向けて何かが振り下ろされる音がする。

47 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:14:23.76 ID:2ump5b2uO
ノハ;゚⊿゚)「くっ!!」

前方に転がり込み、すぐに後ろを向く。
が、ヘリカルは見当たらない。

*(‘‘)*「どこを見ているんですか?」

今度は頭上から声。
落下しつつ大剣の刃を私に向けている。

ノハ#゚⊿゚)「たああああっ!!!!」

両手から青い炎を放出する。

*(‘‘)*「ふーん、まさかここまで……」

ヘリカルは驚いたような表情をし、

*(‘‘)*「ちょろいとはね!」

大剣を盾に突っ込んできた。

48 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:18:05.51 ID:2ump5b2uO
ノハ;゚⊿゚)「きゃっ!!」

炎は剣圧によりたやすく散らされ、私は大剣の腹で弾き飛ばされた。

*(‘‘)*「これが荒巻博士の最高傑作?
  本当、何かの間違いではないでしょうか」

ヘリカルはいらついたようにそう言った。

ノハ;゚⊿゚)「荒巻……?」

そういえばその名前、ドクオが言っていたのを聞いたような気がする。

*(‘‘)*「ええ、あなたは荒巻スカルチノフ博士によって改造されたんでしょう?」

ノハ;゚⊿゚)「高岡じゃ無くて?」

*(‘‘)*「可哀相に、何も知らないんですね」

直後、再び姿を消す。

49 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:20:40.01 ID:2ump5b2uO
ノハ;゚⊿゚)「どこっ!?」

*(‘‘)*「め・の・ま・え、です!」

言葉と同時に胸へと叩きつけられる大剣。
成す術もなく吹き飛ばされる。

ノハ;゚⊿゚)「こふっ!!」

勢いよく壁に背を打ち付けてしまった。
口から血が出てくる。

*(‘‘)*「つまらないあなたは、もう用済みですね!」

ヘリカルはまた姿を消した。

52 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:23:19.71 ID:2ump5b2uO
考えろ、どうすればこの状況を切り抜けられる?
私の動体視力ではやつの動きを捉らえられない。
頼みの綱の炎まで散らされてしまう。

ノパ⊿゚)「……ああ、簡単じゃない」

ここの床は金属製。
だからこそできる打開策、これに掛けるしかない。
危険が伴うが、致し方ないだろう。

54 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:25:47.55 ID:2ump5b2uO
ノハ-⊿-)「ふうぅ……」

目をつむり、神経を研ぎ澄ます。


ジュッ、熱した床を踏んだ音がした。


ノハ#゚⊿゚)「そこだああああああっ!!」

*(;‘‘)*「なっ……」

炎を纏わせた拳は、ヘリカルにクリーンヒットした。

55 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:27:53.56 ID:2ump5b2uO
*(‘‘)*「あう……」

地面に崩れ落ち、大剣を取り落とすヘリカル。

ノパ⊿゚)「ごめんね!!!!」

*(;--)*「ひっ!」

私は炎で跡形もなく蒸発させた。

……怯えるヘリカルではなく、大剣を。

56 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:29:27.05 ID:2ump5b2uO
*(;‘‘)*「えっ……?」

ノパ⊿゚)「もうこんなこと、しないでね」

*(;‘‘)*「いいのですか? 後悔しますよ?」

戸惑うヘリカルに背を向け、私は呟く。

ノパ⊿゚)「私はあなたの良識を信じてるよ」

*(‘‘)*「良……識……?」

ヘリカルの聞き返しを無視し、ばつがいる部屋の扉に手をかけた瞬間。

ノハ;゚⊿゚)「がっ……」

何かが私の下腹部を突き破ってきた。
これは……手?

*(‘‘)*「きゃはははははははっ、調子にのるからこうなるんですよ!」

57 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:31:57.94 ID:2ump5b2uO
*(‘‘)*「私はね、母とも言える存在のハインリッヒ博士が大好きなんです!
  良識というものが私の中にあるのなら、母のためになることこそ私にとっての善なんです!」

突き抜いた手を、少しずつ上部へと持ち上げていく。

ノハ;⊿;)「っ……」

徐々に肉が裂けていく。
あまりの痛さに声すら出ない。

*(‘‘)*「生意気に情けなどかけたからこうなるのです!」

視界がぼやけ出す。
同時に、腹の底から今まで味わったことのない黒い感情が込み上げてきた。

ノハ;⊿;)「うああああああああああ!!!!」

怒りにも似てるけど、何か違う。
どす黒い炎を発させているこの感情は、一体なんなんだ?

59 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/20(木) 21:35:35.23 ID:2ump5b2uO
*(‘‘)*「お母……さん……」

ヘリカルは灰すら残さず消滅した。

……ああ、この感情の正体がやっと分かった。

ノハ;⊿;)「……憎しみ」

自分が汚れてしまったような感じがして、ひどく悲しくなった。
お腹の傷は治っても、この感覚はきっと消えないだろう。
07/23|未完作品コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
この記事にコメント
名前:
コメントタイトル:
メールアドレス:
URL:
コメント:

パスワード:
管理人だけに表示:
管理者にだけ表示を許可
この記事にトラックバック
プロフィール

けいめ

Author:けいめ
特に書くことはないです

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。