ノハ#゚⊿゚) ヒートは全力を尽くすようです!!  3スレ目
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5 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 21:38:34.10 ID:R1RDnJU4O
Episode9、ゴミ捨て場


ノハ;゚⊿゚)「ぐっ……」

いきなり現れた小さな人影により、ヒートはドアの向こうに引きずり込まれていった。

|l|;゚ー゚)「私も加勢に……!」

「それは無理だね」

ドアノブに手をかけた瞬間、部屋中央の床に空いた穴から声が聞こえてきた。
と同時に、黒いコードのような物が私に絡み付いてくる。
扉もびっしりとコードに覆われ、とてもじゃないが開けられそうにない。

|l|;゚ー゚)「このっ、離せなのです!」

コードは私をがんじがらめにし、穴の奥へと向かい始めた。
ほどこうと必死にもがきはしたが、強い締め付けはそれを許さなかった。

6 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 21:40:56.49 ID:R1RDnJU4O
穴の中は薄暗く、そして予想以上に広かった。
周囲には粉々になった機械らしきものが散らばっている。

|l|;゚ー゚)「いたたっ……」

私を底まで運ぶと、コードは一人の男の元へ集まっていった。

( ・∀・)「ばつ君、僕の城へようこそ。
  手荒な招待法で申し訳ない」

コードを操作していたらしき男は、一礼してそんなことを言う。
服装は黒いスーツに革靴ときちっとしているが、この状況でそのような恰好は逆に不気味だ。

|l|*゚ー゚)「あなたは誰なのです?」

( ・∀・)「僕の名はモララー、ハインリッヒに作られた者さ」

コードを操っていたところから予想はしていが、やはりこの人も機械なのか。

|l|*゚ー゚)「それで、この穴は何なのですか?」

( ・∀・)「ゴミ捨て場、ハインリッヒはそう呼んでいたよ」

モララーは周りの床を指差した。
確かにこの壊れた機械の山とゴミ捨て場という言葉は、実にマッチしているよう感じる。

8 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 21:43:42.36 ID:R1RDnJU4O
( ・∀・)「いつもいつも、あいつは気に入らない機械をここに放り込むんだ!」

モララーは怒ったような口調でそう言った。

|l|*゚ー゚)「だけどこんな穴、ずっとここに暮らしていた筈なのに見覚えがないのです」

( ・∀・)「あいつはね、ご丁寧にも床に模した蓋をかけて僕らを閉じ込めたんだ。
   とはいえその蓋は、さっき僕がぶち壊してやったがね」

モララーは口元をにやつかせ、上の部屋の床と同じ色をした破片の一つを蹴飛ばした。
きっとあのコードの束によって壊したんだろう。

それにしても蓋、か。
そんなものでこの空間を隠していたとは。

|l|*゚ー゚)「それで、どうして私をここに引きずりこんだのです?」

( ・∀・)「それなんだけどね、実は君に協力して欲しいことがあるんだ」

10 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 21:45:22.38 ID:R1RDnJU4O
|l|*゚ー゚)「協力なのですか?」

意外な言葉を受け、私は思わず聞き返した。

( ・∀・)「実は僕、ハインリッヒに復讐しようと考えているんだ」

|l|#゚ー゚)「なっ、誰がそんなことに……!」

( ・∀・)「そういうだろうと思ったよ。
   だけど君は、きっと大きな勘違いをしている」

|l|#゚ー゚)「勘違い?」

( ・∀・)「僕が言った協力とは、共闘してほしいという意味では無いんだよ」

それならどういう意味で協力しろというのだろうか。

仮にここからの脱出が目的だとしても、モララーなら自力で脱出できるだろう。
他にこの男が望みそうなことといったら……どこか故障箇所がある、などといった所か?

( ・∀・)「君はただ、死んでくれればいい」

|l|;゚ー゚)「なっ!?」

私の疑問に対する答は、想定外かつ最悪なものであった。

11 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 21:48:47.29 ID:R1RDnJU4O
( ・∀・)「ここに入れられる前に僕が見た限り、君はあいつと最も近しい人間だった」

モララーの体に幾本もの黒いコードが纏わり付き出した。
人間とさほどサイズの違わなかった筈のその身体は、みるみる間に巨大化していく。

|l|;゚ー゚)「私が最も彼女と親しい人間だとして、何のためにそんなことをするのですか!?」

私がそう問う間にも、彼はどんどんコードを巻き付けていく。

( ・∀・)「僕の狙いはね、君の死体をハインリッヒに見せてやることなんだ。
  大切な存在を失う気持ちをやつにも味わってもらうためにな!」

とうとうモララーは黒い竜のような姿になった。
初めとは比べ物にならないような大きさで、片手だけでも私より大きい。
穴の中で動けるギリギリのサイズ、といったところか。

∑ ・ー)「じゃ、始めさせてもらうよ」

12 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 21:50:29.97 ID:R1RDnJU4O
彼はグニグニとうねる右腕を振り上げ、私に叩きつけてきた。
私は振り下ろされるそれを横っ飛びに避ける。

彼の腕がぶつかった部分の床は大きな音を立てて砕け散った。
その威力たるや、私に直撃すれば致命傷間違いなし。

この戦い、どうやら勝ち目は限りなく薄そうだ。

|l|;゚ー゚)「お姉様に何の恨みがあるというのですか!?」

∑ ・ー)「別にありがちな話さ。
  仲の良かった機械を捨てられ、それに文句を言ったら僕までポイときた」

今度は口に当たる部分からコードをたくさん放出してきた。
咄嗟に鞄からナイフを取り出し、数本を切りつつ後ろへ飛ぶ。

|l|;゚ー゚)「お姉様がそんなことを?」

∑ ・ー)「……なるほど、ハインリッヒは君に自分の暗部を見せていなかった訳か」

モララーはそう言うと、一旦攻撃を止めた。

13 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 21:52:17.03 ID:R1RDnJU4O
|l|;゚ー゚)「汚い部分を隠してるなんて、そんなこと……」

否定する言葉を言い切るだけの自信が無い。
冷静に考えてみると、現にこんな穴が存在しているではないか。

∑ ・ー)「さて、それじゃあそろそろ死んでもらおうかな」

モララーはコード製の黒い翼を広げ、無数の電気の筋を放出した。
予想外の行動に反応出来なかった私は、呆気なく雷の檻に囚われる。

|l|;゚ー゚)「っ、痺れ……」

∑ ・ー)「そらっ!」

動けなくなった私に容赦なく噛み付いてくるモララー。
私にはその攻撃を避ける術がなかった。

ズブリ

|l|*;ー;)「ぐっ……」

鈍い音を立て、彼の牙が私を貫いた。

15 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 21:54:23.03 ID:R1RDnJU4O
モララーの牙は私の腹に2つの大穴を作った。

|l|*;ー;)「あぁ……」

もがけばもがくほど、いびつな牙は胴体にめり込んでいく。
かといってじっと耐えられる程度の痛みではない。
痛みが痛みを呼ぶその様は、まさに苦痛の悪循環。

∑ ・ー)「痛いかい?」

器用にも私を噛んだまま、そんな勘に触る質問をしてきた。

|l|*;ー;)「当たり前……なので……」

∑ ・ー)「すぐに終わらせてあげるよ」

モララーはそう喋りながら私を吐き捨てた。
そして地面に転がり落ちた私に向け、大きな右足を振り落と……




∑;・ー)「ぐおおおおおっ!」

|l|;゚ー゚)「っ!?」

銃弾がモララーの右足に向けて連射される。
黒く大きかったそれは形を保てなくなり、瞬時にただのコードの絡まりと化した。

16 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 21:55:55.19 ID:R1RDnJU4O
∑;・ー)「なっ、何事だ!!?」

モララーは自分の足を破壊した相手の方に目をやった。
私も急いでそちらの方を見やると、そこには予想だにしない人物がいた。

('A`)「いやな、知り合いが困ってたら助けるのは当たり前だろ?」

|l|*゚ー゚)「ドクオさんっ!!」

('A`)「ばつ、事情はよくわからんが、とりあえずこいつは敵ってことでいいんだな?」

|l|*゚ー゚)「はいなのです!」

機械に精通しているドクオさんは、この場においてとても心強い。
ただ純粋に、嬉しかった。

17 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 21:59:07.10 ID:R1RDnJU4O
('A`)「一見して分かる。
  お前の体は大きいが、コードを接合する部分自体は脆いってな!」

そう言って銃を撃つ。
銃弾はコードとコードの隙間をかいくぐり、胴体と翼とを繋ぐ箇所へと命中した。

∑;・ー)「くっそおおおおおおっ!」

慌てて尾を叩きつけるが、動きが直線的過ぎる。
ドクオさんは前方に転がり込んでそれを避け、再度翼を撃った。

∑;・ー)「ぼっ、僕の翼がああああああ!」

とうとう黒い翼は根本からもげ落ちた。
その衝撃により、辺りに多量の埃が舞う。

19 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:00:44.15 ID:R1RDnJU4O
と、風を纏って埃を散らしていく何かが見えた。

∑#・ー)「がああああああっ!」

その正体は咆哮と共に横凪に振られる尾。
ドクオさんはそれを飛び跳ねて回避した。

∑ ・ー)「馬鹿め!!」

ニヤリと笑い、空中に浮いた彼を左手で掴み取る。

∑・ー)「このまま握り潰……ん?」

('A`)「どうした、力が入ってないぞ?」

∑;・ー)「くそっ、いつの間に……ぐああああっ!」

左手首がだらりと垂れ下がり、ただの黒い紐の束と化した。

('A`)「ま、埃に紛れてちょいとな」

かつて手だったそれを掻き分け、ドクオさんは地面に降り立った。

20 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:02:34.38 ID:R1RDnJU4O
∑;・ー)「はあっ、はあっ……」

当初竜のようだった彼も、今やボロボロの黒い毛玉のようである。

('A`)「悪いがこれで終わりだ」

ドクオさんはとどめを刺そうと頭部に狙いを定めた。

∑;・ー)「僕は負ける訳にはいかない。
  部品を分けてくれた皆のためにも、絶対に……!」

モララーはそう叫ぶと、電撃を放出する。

(;'A`)「ちっ!」

チップで強化された反射神経により、何とか初撃を避けるドクオさん。

∑#・ー)「捨てられたどうし復讐の誓いを立て、皆のパーツを集めて強化したこの体。
  貴様とは、背負う物の重さが違うんだ!!!!」

体のあちこちから煙を出しながらも、彼は電撃を出すのを止めない。
ドクオさんは素早く飛び回っているが、長くはもたないだろう。

∑#・ー)「負けてたまるものかっ!!!!」

(;'A`)「がはっ!」

とうとう一筋の電気がドクオさんを捕らえる。
動きを鈍らせたところに、追い撃ちをかけるかのように雷の帯が迫っていった。

22 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:05:10.82 ID:R1RDnJU4O
(;'A`)「ぐおおおおおっ!」

光輝く網がドクオさんを締め付ける。

∑ ・ー)「ひやひやしたが、これで終わ……」

|l|*゚ー゚)「はあああああっ!」

痛みをこらえながらの跳躍。
モララーの首筋に向け、力を込めてナイフを突き立てた。
武器が武器だけに深くは刺さらないが、確かな手応えを覚えた。

∑;・ー)「馬鹿なっ! 貴様、まだ動け……」

モララーは私の方を向き、口を開いてコードを吐き出そうとする。

一見絶体絶命なこの状況だが、私は勝利を確信していた。
なぜならモララーの頭越しに、ドクオさんが銃を構える姿が見えたから。

('A`)「注意散漫だぞ!」

叫ぶと同時にモララーの首の接合部を撃ち抜く。

∑;・ー)「あが……」

黒いコードがばらばらと崩れ落ち始める。
ついには元の人型へと戻った。

24 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:08:44.56 ID:R1RDnJU4O
(;・∀・)「畜生、ちくしょうっ!」

這いずりながらドクオさんの方へと向かうが、途中で右腕が折れたようだ。
ドシャリと音を立て、地面に俯せるような体勢になった。

(;・∀・)「ごめんね皆、せっかくのパーツが……」

とうとう移動することを諦め、残った左手で悔しげに床を叩き出した。
その衝撃にさえ耐えられなかったのか、左手首が上向きに折れ曲がる。

( ;∀;)「ごめん、本当にごめん!」

とうとうモララーは泣き始めた。

ざっと見たところ、彼は涙を流せるほど精巧には造られていない。
果たして彼の涙は偶然に目から流れ出たオイルに過ぎないのだろうか。
それとも、もしかしたら本当に……

|l|*゚ー゚)「モララー」

私は体中から血が流れるのを我慢しつつ、彼に近づいた。

|l|*゚ー゚)「あなたが大事に思っていた方の代わりに、
   ばつが一緒にいてあげるのですよ」

25 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:10:37.97 ID:R1RDnJU4O
('A`)「お前、どういうつもりだ……?」

|l|*゚ー゚)「モララーはとても大切に思っていた人をハインリッヒお姉様に捨てられたのですよね?
   彼女の義妹として謝ります、すいません」

(  ∀ )「……」

|l|*゚ー゚)「私の罪はお姉様を盲目的に愛し過ぎたこと。
   償えるとは思わないのですが、少しでも失われた人の代わりになりたいのです」

(;'A`)「おいっ、ここに残るっていうのか!!?」

|l|*゚ー゚)「……ばつは分かってるんですよ、もう長くないって。
   ほら、ドクオさんとは違ってひ弱な一般人さんなのですから」

私はそう言い、胴に空いた2つの穴を指差した。
チップを埋め込まれた人達とは違い、傷が塞がる気配などはない。

溢れ出す赤黒い血は、止まることを知らない双子の滝のようであった。

26 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:18:01.95 ID:R1RDnJU4O
|l|*゚ー゚)「私なんかがその方の代わりになれるとは思いませんが、
   暇つぶしの相手ぐらいにはなる筈なのです。
   だからね、泣かないで欲しいのです」

( ・∀・)「……ああ、ありがとう」

モララーはオイル……いや、涙を拭い取り、ゆっくりと頷いた。

|l|*^ー^)「その表情の方が似合うのですよ」

と、後ろから肩に手を置かれた感触がする。
振り向くと、いつになく真剣なドクオさんの顔があった。
彼のこういう表情を見ると、少しからかいたくなってしまう。

('A`)「ばつ、俺はさ……」

|l|*゚ー゚)「まーさーかー、20以上年が違うばつのことを好き、
   なんてことないですよね?」

(;'A`)「えっ、あー、そのー……図星」

|l|;゚ー゚)「ええっ、冗談で言ったのにぃ!?」

頭を掻きながらバツが悪そうに笑うドクオさん。
彼がさりげなく発したその言葉は、私にとってまさに寝耳に水な内容だった。

27 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:20:01.62 ID:R1RDnJU4O
('A`)「俺はさ、そりゃもう女っ気のない人生を送ってきた。
  何かと粗ばっか目についちゃう性分でな、それが災いしたんだろう」

|l|*゚ー゚)「損な性格なのですねー」

('A`)「ははは、言ってくれるな。
  だけどばつだけはどこか違ったんだ。
  ひたすら明るいお前は、見ているだけで……」

|l|*゚ー゚)「はいはい、ロリコン暴露タイムはそこまでなのです!」

(;'A`)「うっ」

ドクオさんは俯き、黙りこくった。

|l|*゚ー゚)「……どうしてなのですかね、こんなロリコンおじさんにドキドキするのは」

('A`)「えっ?」

|l|*゚ー゚)「そうですね、ばつが16になった時にまだ気持ちが変わっていなかったら、
   その時もう1度そう言ってほしいのです」

('A`)「気ぃ使ってくれてありがとな」

|l|*゚ー゚)「本心なのですよ、ばつはドクオさんが大好きなのです」

('A`)「……本当にありがとう」

|l|*゚ー゚)「どう致しましてなのです」

28 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:23:03.84 ID:R1RDnJU4O
('A`)「さて、何か言伝はあるか?」

|l|*゚ー゚)「そうですね」

私はお姉様とヒートに向けた言葉をボイスレコーダーに記録し、それをドクオさんに預けた。

('A`)「分かった、必ず聞かせるから安心してくれ」

|l|*゚ー゚)「あっ、あとどこかの変態さんに会ったら言ってほしいのです。
   また一緒に海水浴に行きたいな、と」

( A )「ははっ、変態は余分だ……」

(;A;)「……約束だからな!」

|l|;゚ー゚)「おっ、大人の癖に泣かないで欲しいのです!」

|l|*;ー;)「そんなことされたら、私まで……」

やだな、最後ぐらい笑顔でいたかったのに。
どうしてこんなにも寂しいんだろう。

|l|*;ー;)「この鞄、役に立つ道具や大事な物がたくさん入ってます。
   使い道はドクオさんに任せます、どうか持って行ってください」

そう言って私は、ドクオさんに鞄を手渡した。

(;A;)「それ、昔俺が作った鞄か……まだ使っててくれたんだな」

|l|*;ー;)「言ったじゃないですか、私はドクオさんが大好きなのです」

29 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:24:48.08 ID:R1RDnJU4O
泣きながらも懸命に笑顔を作るドクオさんを見送り、私はモララーの横に寝そべった。

|l|*゚ー゚)「モララーの大事な人って、どんな方だったのです?」

( ・∀・)「おっちょこちょいな上に忘れっぽくってね、すぐに泣き付いてくるんだ」

そう語るモララーの目は、どこか遠くを見つめているかのようで。

( ・∀・)「だけど誰よりも優しかった」

なんだかとても、懐かしそうで。

( ・∀・)「まさか機械が機械に恋をするとは、流石に思いもしなかったけどね」

加えてどこか悲しげだった。

|l|*゚ー゚)「大好きだったのですね」

( ・∀・)「ああ、心の底から」

|l|*゚ー゚)「……本当にすいませんなのです」

(;・∀・)「いや、君が謝る道理はないよ。
   さっきまでの僕はどうにかしてた、こちらこそごめん」

そう謝るモララーの姿はヒートを襲った直後の自分と被った。

あの時ヒートが抱いた悲しみの意味、今になってやっと理解できた気がする。
心の拠り所を失った人を見ると、あんなにも心苦しいものなんだ。

30 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:28:29.68 ID:R1RDnJU4O
|l|*゚ー゚)「ばつはヒートの言うような素敵な人になれたのでしょうか?」

そして彼女の期待には添えたのだろうか?

そんなわけ無い、なんせこんな形で途中退場を……

( ・∀・)「君は十分、素敵な人だよ」

|l|*;ー;)「えぐっ、えぐっ」

その言葉はあっという間に心の隅々にまで染み渡っていく。
私にとっては文字通り、救いの言葉だった。

31 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:30:51.68 ID:R1RDnJU4O
私は私なりに頑張って生きてきた。
そう、まさに全力を尽くした。


だから今ぐらい、楽をしても罰は当たらないよね?


|l|*゚ー゚)「少し早いのですが、お先に行かせて貰うのです」


私はずーっと待ち続けるつもりだ。
いつか大好きな人達と再会できる、その時を。



|l|*-ー-)「それでは、おやすみなのです」



そう呟き、私は長い眠りについた。
最後に瞼の裏に写った光景は、いつか三人で行った海水よ……

35 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:37:52.75 ID:R1RDnJU4O
Episode10、ゲーム


ノハ;゚⊿゚)「はあっ、はあっ」

ヘリカルに貫かれたお腹が強烈に痛む。
すぐには動けないと判断し、壁にもたれかかって休憩することにした。

ノハ;゚⊿゚)「ばつは無事かな?」

すぐにでも駆け付けたいところだが、今の自分が戦力になるとは思えない。
いや、戦力にならないどころか足を引っ張ってしまうかもしれない。

ノハ-⊿-)「少しだけ傷が治るのを待たないと」

36 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:39:50.78 ID:R1RDnJU4O
ノハ-⊿-)「……」

徐々に痛みが和らいでいく。
もう少しだけ楽になったら、ばつの方へ行こうか。



「素直ヒートさんかお?」

突然、至近距離から男の声がした。

ノハ;゚⊿゚)「てててて敵襲っ!!?」

目を開くと、小太りの男が私の顔を覗き込んでいた。

(;^ω^)「落ち着いてほしいお、僕はドクオさんに頼まれてここに来たんだお!」

ノハ;゚⊿゚)「ドクオがここにいるの!!?」

( ^ω^)「ばつって女の子を助けるとか言って、あの部屋の穴に飛び込んでいったお」

ノハ#゚⊿゚)「ちょっと待って、あなたはばつを助けに向かわなかったの!!!?」

(;^ω^)「おっ……僕はこの先にヒートって子がいるから、そっちを助けてやれって言われたんだお」

ノパ⊿゚)「あっ……」

そうか、この人は面識のない私をわざわざ助けに来てくれてたのか。
それなのになんて言い方をしてしまったんだろう。

37 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:42:56.91 ID:R1RDnJU4O
ノハ;゚⊿゚)「ごっ、ごめんなさい!!!
  私のために来てくれたのに、えっと、その……」

頭がこんがらがってくる。
そんな私を見兼ねたのか、男の人は柔らかく笑ってこう言った。

( ^ω^)「気にしないでほしいお」

ノパ⊿゚)「……うん」

いつまでも恐縮していては相手も居心地が悪いだろう。
私はさっきの失言については割り切ることにした。

なにはともあれ、この人はいい人そうなので一安心。

38 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:44:30.57 ID:R1RDnJU4O
( ^ω^)「あっ、とりあえず自己紹介しといた方がいいかお?」

ノパ⊿゚)「うん、そうしよっか!!」

( ^ω^)「えーっと、僕はブーンと言うらしいお。
    いきなり変な体質になって困ってたところで、ドクオさんに会ったんだお」

ノパ⊿゚)「じゃ、私と似たような立場だね!!
  ドクオから聞いてるみたいだけど私は素直ヒート、よろしくね!!!」

( ^ω^)「おっおっお、宜しくだお!」

ノパ⊿゚)「それでこの後の行動のことなんだけど、とりあえずばつとドクオの様子を見に行かない?」

( ^ω^)「ヒートさんは動いて大丈夫なのかお?」

ノパ⊿゚)「まだ本調子ではないけど、ある程度は動けるよ!!!」

ガッツポーズを作り、元気なことを示してみた。

( ^ω^)「おっおっお、それじゃあ早速……」

「それは無理な相談だぜ」

野太い声が鳴り響いた。

40 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:49:01.43 ID:R1RDnJU4O
声の主は、ばつと別れたのとは反対側の扉から出てきた。

( ^Д^)「プギャー! 反応が遅いっつーの!」

長身の男が私達を指差してにやつく。

(・∀ ・)「ほんとほんと、熱センサーもないなんて不便そうだよねー」

その背後に続く小柄な少年は、愉快そうに同意した。

(*゚ー゚)「まあまあ、お2人さん、出合い頭に失礼だよ」

最後に続く女性は、1人落ち着いた雰囲気を醸し出している。

ノパ⊿゚)「あなた達何者なの!!?」

(・∀ ・)「ありゃ、ヒートお嬢様はご機嫌斜めかなー?」

(*゚ー゚)「またんき君、ヒートちゃんの機嫌を損ねるようなことを言わないの!」

( ^Д^)「プギャー! またんきの野郎、怒られてやんの!」

(・∀ ・)「なんだとー!」

……なんなんだ、この集団は?
まるで子供のような言い争いを見ている内に、
すっかり緊迫感が抜けてしまった。

41 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:51:54.25 ID:R1RDnJU4O
( ^ω^)「あいつらが痴話喧嘩してるうちに、なんとか逃げられないかお」

ブーンが小声で話し掛けてきた。

ノパ⊿゚)「そうだね、絡まれたら厄介そうだし逃げようか!」

(;^ω^)「ヒートさん、声大きいお」

ノハ;゚⊿゚)「あっ……」

しまった、ついいつもの調子で喋ってしまった。
"お前は地声が大きい"とはクールお姉ちゃんの弁。
散々注意されてきたのに、こればっかりはなおらない。

(・∀ ・)「さて、逃げようとしても手遅れだったりするわけで」

(*゚ー゚)「心配ないわ、ヒートちゃんは手厚く保護するから」

( ^Д^)「ブーンとやらには死んでもらうけどな!」

3人は私達の方に向き直り、そのままにじり寄ってきた。

42 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:53:24.23 ID:R1RDnJU4O
ノハ#゚⊿゚)「たああああああっ!」

距離が空いている内にと、怒りの炎を扇状に放出する。
あわよくば3人を仕留めたいところだが、

( ^Д^)「甘い甘い!」

炎を潜り抜けた長身の男がブーンに殴りかかろうとした。

( ^ω^)「負けないおっ!」

大振りのパンチ。
男のそれよりも早く、相手の体に衝撃を与える。

(;^Д^)「があっ!?」

まるでバトル漫画のように綺麗に吹き飛び、強かに壁に頭を打ち付ける男。
口ほどにもないというか、その一撃で気を失ったようだ。

(・∀ ・)「ぎゃははは、プギャーの野郎返り討ちにあってやん……」

言葉を言い終わるよりも早く、彼はブーンのラリアットにより吹き飛んだ。
床にぶつかってからも軽くバウンドしながら転がっていく。
その勢いが止まる頃には彼はぐったりとしてしまっていた。

( ^ω^)「さて、後はお前だけだお」

強い。

ブーンの戦いを見て湧き出てきた感想は、それだけだった。

43 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 22:55:41.49 ID:R1RDnJU4O
(*゚ー゚)「その身体能力の高さ……もしかしてあなた、ブーン君?」

1人だけ無事なままの女は私達に近付くのを止め、
訝るような表情でそう問い掛けた。

( ^ω^)「だったらどうなんだお?」

(*゚ー゚)「まさかあなた達二人が同行するなんてね」

質問の答にはなっていない筈のブーンの言葉だが、なぜか女はそれで納得したようだった。

ノパ⊿゚)「私達が一緒にいると何かあるっていうの?」

(*゚ー゚)「うーん、教えてもいいのかな?
  ……別にいいよね、うん、口止めはされてないし」

女は1人頷き、自分自身に言い聞かせるかのようにそう言った。

46 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 23:01:13.45 ID:R1RDnJU4O
(*゚ー゚)「あなた達はね、とあるゲームの対象なの」

ノパ⊿゚)「ゲーム?」

(*゚ー゚)「ハインリッヒ高岡と荒巻スカルチノフ、主催者はこの二人」

どちらの名前も何度か聞いたことのある物だ。
なんとなく嫌な予感がする。

(*゚ー゚)「ま、ルールの要点だけ言うわね。
  荒巻はヒートちゃん、ハインリッヒはブーン君をそれぞれ自分の持つ技術で強化する」

そういえばヘリカルが私のことを、
ハインリッヒではなく荒巻にどうこうされたと言ってたっけ。

(*゚ー゚)「勝敗の決め方は簡単、自分の手掛けた側の人間が死んだら負け」

誰かの生き死にが関わっているであろうことは予想していたが、
それが事実ということにはやはり驚いた。
フィクションでもあるまいし、こいつらは人の命を何だと思っているんだろうか。

49 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 23:04:34.37 ID:R1RDnJU4O
ノハ#゚⊿゚)「……」

(#^ω^)「ふざけんなおっ!!!
    そんなことのためにツンは、ツンは!!!!」

驚くほど大きな声で、ブーンはしぃを怒鳴り付けた。
事情はよく分からないが、ツンという人に関して何かがあったのだろう。

(;゚ー゚)「んー、私に言われてもね。
  因みにルールは他にもあって、」

(#^ω^)「そんなこと、聞いてな……」

ノパ⊿゚)「ブーン!!! 気持ちは分かるけど、今後のためにも聞いとこうよ!!!!」

(#^ω^)「それは……分かったお……」

ブーンの気持ちは痛い程よく分かった。
もし彼が怒鳴らなかったら、代わりに私がそうしてしまっていたかもしれない。

それでも冷静に損得勘定をしてみると、
やはりここで怒って情報収集の機会を逃がすのは得策でないだろう。

(*゚ー゚)「じゃ、説明再開するよ?
  ああ、その前に名乗っとくね。
  私は荒巻に作られた機械のしぃ、よろしく」

50 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 23:06:28.12 ID:R1RDnJU4O
(*゚ー゚)「えーっとね、2人の博士はあなた達と研究所外で接触しちゃいけないことになってるの」

ノパ⊿゚)「誰かを私達に会いに行かせるのは?」

(*゚ー゚)「刺客やガードマンを送るのも禁止なんだよね。
  つまりはあなた達が自分の研究所に行き着くのを待たなきゃならないわけ。
  退屈なゲームだよね、ほんと」

退屈なゲーム、私達の平穏を奪った事柄をそんな言葉で片付けられたのは悔しい。
でも今は耐え時だ。
情報というのは、持ちすぎて損はない。

ノパ⊿゚)「ところであなたは荒巻の部下って言ったけど、ここは荒巻の研究所外だよね?」

(*゚ー゚)「ルールの穴っていうのかな?
  研究所は研究所でも、自分の研究所だけでしか接触できないとは定められてないからね。
  ちょい反則気味だけど、荒巻はそこをついて相手の陣地に刺客を送ったってわけ」

52 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 23:10:07.80 ID:R1RDnJU4O
( ^ω^)「……怪しいお」

(*゚ー゚)「ん?」

( ^ω^)「お前が荒巻の部下である以上、
    そいつがに有利になるような伝え方をしてるに違いないお」

確かにブーンの言う通りだ。
私は情報を鵜呑みにしかけていたが、それは迂濶だったかもしれない。

(*゚ー゚)「信じてもらうのは無理かもしれないけど、嘘はついてないよ。
  このタイミングでルールを教えた方が、
  荒巻にとって有利になると思ったからね」

( ^ω^)「どういうことだお?」

(*゚ー゚)「あなた達が今いるのはハインリッヒの研究所、怒ったらまずはそっちに矛先が向くでしょ?
  このゲームは博士本人があなた達にやられても負けだからねー。
  私はあなた達が揃えばハインリッヒを倒せるだろうと踏んだってわけ」

そういえばこのゲームとやら、
自分が怒りの矛先になることを考えると博士達も安全とは言えない。
そんな危険を侵し、周りを巻き込んでまで何がしたいのだろうか?

……まあ、こんなことはどうでもいいか。
今の私達に無駄なことを考える余裕などないのだから。

53 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 23:15:51.86 ID:R1RDnJU4O
(*゚ー゚)「あとこれはオマケ情報。
  イニシャル付き殺人チップを沢山の人に埋め込んだのは、
  実はそれを研究所に行き着くヒントにするためなんだ! 私も手伝ったよー」

……幾らなんでもめちゃくちゃだ。
ヒントと言うには余りに不確実なそれのために、
何人もの人を狂わせ、そして誰かを殺させるなんて。

ノハ#゚⊿゚)「……さて、情報とやらはそれで全部!!?」

(#^ω^)「そろそろ我慢できなさそうだったんだお」

(;゚ー゚)「えっ、あなた達どうして怒ってるの?
  私は有力情報を教えてあげたんだよ?」

(#^ω^)「それぐらい、自分で考えろ!!」

真っ直ぐに突き出される内藤の拳。
しぃの腹に綺麗に吸い込まれていった。

(;゚ー゚)「けふっ」

彼女は殴られた場所を押さえながら倒れ込んだ。

54 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 23:18:38.40 ID:R1RDnJU4O
(#^ω^)「ふーっ、ふーっ」

ノパ⊿゚)「落ち着いた?」

しぃを殴ってからずっと、ブーンは肩で息をしていた。
顔色も優れないようだし心配だ。

(;^ω^)「あれっ、僕はどうしてここにいるんだお?」

いきなり素っ頓狂なことを言うブーン。
声色にふざけている様子はない。

ノハ;゚⊿゚)「ブーン、大丈夫?」

( ^ω^)「ブーンってのが僕の名前なのかお?
    それなら君はもしかしてツン……いや、やっぱり違うお」

ノハ;゚⊿゚)「ちょっとブーン、もしかして記憶が!!!?」

( ^ω^)「よく分からないけど、ツンって女の子のことしか……」

怒りのあまり混乱しているというのだろうか?
とりあえず私はこの研究所であった出来事や、
それに加えて埋め込まれたチップに関する情報をブーンに話して聞かせた。

55 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/09/28(金) 23:21:33.23 ID:R1RDnJU4O
(;^ω^)「そんなことが……」

ノパ⊿゚)「もしかしたらあなたの記憶についても、
  ハインリッヒが何か知ってるのかもしれない」

( ^ω^)「……」

それっきりブーンは黙りこくった。

「ふーむ、しぃもまだ人間の感情を理解し切れていないようだのぉ」

ノハ;゚⊿゚)「っ!?」

不意に老人のものと思しき声が聞こえてきた。
急いで辺りを見渡すが、誰かが近くにいる気配はない。

「ふぇっふぇっふぇっ、ここじゃよ、ここ」

声がする方を見るも、やはり誰もいない。
目につくのは床に倒れ込んでいるしぃぐらいなものである。

/ ,' 3「どれ、こうすれば分かりやすいかの」

その声と同時、しぃの身体から半透明な老人の姿が現れた。

/ ,' 3「わしの名は荒巻スカルチノフ。
  ヒート、あんたを改造した男じゃ」
07/23|未完作品コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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