ノハ#゚⊿゚) ヒートは全力を尽くすようです!!  7スレ目
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4 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 21:40:45.74 ID:lcjJgCHdO
Episode17、愛のカタチ



( ´∀`)「すまないモナ、そんな女の子は見ていないモナ」

目の前に立つ実直そうな農夫は、心底すまなそうにそう謝った。

( ФωФ)「なーに、すぐ見つかるさ」

彼の気負うものが少なくなるよう、俺は柄にもなく笑顔を浮かべた。
妹のキュートいわく悪魔の微笑の如しだそうだが、
流石にあれは誇張だろうしな。

((;´∀`))「ガクガクブルブル」

( ФωФ)「どうしたのだ?」

(;´∀`)「ななな何でもございませんモナ!」

……誇張表現、だよな?

5 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 21:42:22.33 ID:lcjJgCHdO
( ФωФ)「ふぅ」

溜め息をつきつつ、寂れた街道をひた歩く。
慢性的な疲れが頻りに歩みを妨げようとするが、
そんなものは俺の気合いの前には無力だ。

( ФωФ)「とはいえ、終わりが見えない旅は辛い」

妹のキュートが行方不明になって早二ヶ月。

始めの一週間は家で待ち続けたのだが、どうも俺はそういうことが苦手な質らしい。
気がついたら、足が勝手に動いていた。

( ФωФ)「過去に存在したという警察とやらさえあれば、
        少しは楽なんだろうがな」

存在しない物に焦がれてもどうしようもないのは分かっている。
こんなことを考えてしまうのは、俺の心が弱っている証なのだろう。

くそっ、情けない。

( ФωФ)「大丈夫、すぐに見つかる筈だ」

俺はそう呟き、自身を鼓舞した。

7 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 21:43:56.90 ID:lcjJgCHdO
過去にあったという警察……、いや、国家という存在に対し、
一体その時代の人々はどのような認識を持っていたのだろう。

世界的に金を管理する通貨院。
教育機関を管理する育成院。
人々に害なす奴等を討伐する警護軍。

今の世界に存在する、かつて国家というものが運営していた組織と似た物は、
今ではこれら3つに分かれている。

( ФωФ)「まあ、ただ分かれているだけならいいんだが……
        実際は、個々の機能が低下しているからな」

警護軍は余程のことが無い限り動かないし、
育成院関係の施設も一部の金持ちしか通えない。

自由を求めた果てに行き着いたのが現在の世界だそうだが、
俺には伝え聞く過去の方がよっぽどマシに思える。

8 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 21:45:25.09 ID:lcjJgCHdO
( ФωФ)「ん、町が見えてきたな」

目をすぼめ、朧に見えてきた建物群に焦点をしぼる。
遠目に見た感じ、それなりに規模のでかい町のようだ。

( ФωФ)「今度はあそこで聞いてみるか」

あれだけ大きい町だ、キュートの情報が手に入る確率も高いだろう。
そんな希望を燃料とし、俺の足は作業能率を増した。

( ФωФ)「ん?」

だが、そんな燃料の供給は思いがけず停止する。
俺の向かっていた町が、何やらおかしな様子であるらしいことに気が付いたからだ。

( ФωФ)「あれは……」

さながらゴーストタウンの如く、活気が少しもないではないか。

9 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 21:47:07.32 ID:lcjJgCHdO
(;ФωФ)「これはひどい」

辿り着いて分かった、この町は普通ではない。

人がいないだけならまだしも、血痕が散在している。
そして何より、無数の死骸が野ざらしに転がっているではないか。

( ФωФ)「ここは……」

心臓が激しく警鐘を鳴らす。
ここにいてはまずい、早く立ち去れと。

( ФωФ)「……」

俺がきびすを返そうとした瞬間。

o川*゚ー゚)o「お兄ちゃん……?」

(;ФωФ)「キュートっ!!?」

尋ね人その人が、俺の背後から声をかけてきた。

11 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 21:49:30.38 ID:lcjJgCHdO
( ФωФ)「心配したんだぞ!」

o川*^ー^)o「お兄ちゃん、会いたかっ……」

キュートは言葉を途中で止め、顔色をサッと青くした。

o川;゚ー゚)o「駄目……いや……」

口ではそんな言葉を呟きながらも、
ゆっくりとこちらに近づいてくる。

( ФωФ)「どうしたのだ?」

o川;゚ー゚)o「お兄ちゃん……逃げて!」

そう言いつつ、回し蹴り気味のミドルキックを放ってきた。
俺は咄嗟に右腕を差し出し、それを防ごうとしたが……

(;ФωФ)「ぐああっ!!」

強すぎる蹴りは、俺を数メートル吹っ飛ばした。

12 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 21:52:12.84 ID:lcjJgCHdO
o川*;ー;)o「いやっ、いやああああああっ!!!」

キュートは泣き叫びながら、軽く身体を震わせる。
まるで、思い通りに動かない自分の四肢を、必死に押さえ付けるかのように。

( ФωФ)「キュート……」

直感で分かった。

この町をこんな惨状にしたのは、他でもない俺の妹。
彼女は、どうやら身体の自由が利かないようである。

o川*;ー;)o「もういや……誰か助けて……」

( ФωФ)「……」

懐から護身用のナイフを取り出す。

( ФωФ)「俺はお前を悲しませたくはない、だからこそ……」

必死に身体を押さえ付けているであろうキュートに近付く。
そして俺は、彼女目掛けてナイフを振り降ろした。

14 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 21:53:42.10 ID:lcjJgCHdO
「お兄ちゃん、ずっとずっと大好きだよ……」

キュートが掠れる声で、最後に紡いだその言葉。
胸がキリキリと締め付けられるような感覚に襲われる。

( ФωФ)「……すまない」

果たして、これが最善手だったのだろうか。
俺が、彼女と、再び笑い合うことは、不可能だったのだろうか。

( ФωФ)「………」

俺は、最低だ。
キュートの意志の力を、信じ抜くことができなかったのだから。

( ФωФ)「一緒に、行こうか」

動かなくなった華奢な身体を両手で抱え、俺は町から立ち去った。

16 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 21:55:28.63 ID:lcjJgCHdO
( ФωФ)「そういえば、あいつは花が大好きだったな」

偶然に行き着いた、無数のタンポポが生えている草地。
そっとキュートを横たえると、俺もその隣に寝転がった。

首筋に軽く触れる草の感覚が、やけにくすぐったくて。
俺は、つい笑ってしまった。
目から悲しみの水を流しながら、笑ってしまった。

( ФωФ)「お前は、タンポポみたいなやつだったな」

いつもフワフワ、元気に飛び回っていて。
だけど誰よりも、根がしっかりしていて。
年を経るごとに、美しく成長していって。

( ФωФ)「これじゃ、シスコンだな」

一人苦笑いを浮かべ、キュートの頬を撫でる。
どうも冷たい、きっと寒いのだろうな。

( ФωФ)「キュート、お前と出会えてよかったよ。
        この世に神がいるのなら、そいつは悪くない采配をしたもんだ」

……だが、こんな別れはあまりにつらすぎる。
どこにいるのかも分からない神様よ、悪いがあんたに感謝はできないぜ。

18 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 21:58:40.94 ID:lcjJgCHdO
冷たい風が頬を撫でるのを感じつつ、
俺は勢いよく上体を起き上がらせた。

キュートの居場所を探す際に、ふと耳にしたある情報。
その時は聞き流したそれが、今の俺には光明となり得ることに気がついたからだ。

( ФωФ)「確か……荒巻スカルチノフとかいったか?」

"死者を蘇らせる研究をしている博士"とは。

そいつを探そう、そしてキュートを生き返らせるよう頼んでみよう。
やはり俺は、もう一度あいつの笑顔が見たいし、
もう一度あいつの声が聞きたいから……。

( ФωФ)「そうと決まれば、急がなくては」

流石にキュートの肉体が腐り始めてからではまずいだろうからな。
俺は再び彼女を抱くと、荒巻捜しのために歩き始めた。

21 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 22:01:02.06 ID:lcjJgCHdO
荒巻の居場所は、意外なほどにあっさり見つかった。
所用した時間は半日ぐらいだろうか。

/ ,' 3「ようこそ、我が研究所へ」

そして今、俺はテーブルを間に挟んで荒巻と向き合っている。

( ФωФ)「急な訪問に応えて貰って悪いな、礼を言う」

/ ,' 3「くっくっく……、そんなことは気にしなさるな。
     それで、急ぎの用事とは何なのかな?」

( ФωФ)「……見ての通り、大切な人を死なせてしまった。頼む!!
        貴方が傾倒しているという死者を生き返らせる研究で、
        彼女を救ってやってはくれないだろうか!!!」

/ ,' 3「ふむ、まだ死後早いようだな。
     分かった、少し待っていろ」

そう言うと、荒巻は薬棚に向かって何かを探し始めた。

23 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 22:03:27.16 ID:lcjJgCHdO
/ ,' 3「あったあった、これだ」

彼はそう言いつつ、赤い薬品が入った大きめの瓶をテーブルに置いた。

/ ,' 3「死後数日以内、なおかつ肉体の損傷が極端に激しくさえなければ、
     それを数滴飲ませるだけで息を吹き返すだろう」

( ФωФ)「恩に切る!」

俺は頭を下げると、瓶の蓋に手をかけた。

/ ,' 3「あー、すまんが薬をやるのは研究所外でにしてくれ。
     感動のシーンを見せ付けられるのは、この老骨にはちと堪えるのでな」

そう言って、ばつの悪そうな顔をする。

/ ,' 3「そうそ、その薬は瓶ごとやるから、好きにしていいぞ」

( ФωФ)「承知した」

24 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 22:06:05.34 ID:lcjJgCHdO
外に出ると、すっかり日が暮れていた。
サラサラと川の水が流れる音を除けば、全くもって静かである。

黒く冷たい一陣の風が、そっと俺の頬を撫でていった。
思わず、ブルリと身を震わせる。

( ФωФ)「さて、さっそく薬を飲ませるか」

o川*---)o「………」

キュートの口をこじ開け、薬を流し込む。

o川*---)o「ん……」

( ФωФ)「気がついたか、キュー……」



ボチャリ。
振り払われた薬瓶が、近くを流れる川に落ちる音がした。

ダラリ。
俺の胸から流れる血液が、地面へと広がりゆく感触がした。

25 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 22:07:22.84 ID:lcjJgCHdO
あれっ、私は死んだんじゃ?
それなのに、どうして意識があるんだろう。

……どうして右手が生暖かいんだろう。

o川;-ー-)o「うぅ……」

目を開くのが、堪らなく怖い。
そうした瞬間、なにか知りたくない現実を見せつけられそうな気がする。

o川;-ー-)o「………」

気がついたら、見る人全てを殺してしまうようになっていた。
身体が思い通りに動かなくなって、
ついには無人の町を作り上げてしまって……。

やはり、この目を開くのは怖い。

26 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 22:08:45.31 ID:lcjJgCHdO
気を失ってから正気に戻ると、最後に目にしていた人が決まって死んでいるんだ。
だから今回の場合、それはきっと……

o川;-ー-)o「お兄……ちゃん……?」

目をつむったまま左手を伸ばし、
私の右手が触れている生暖かい何かを撫でる。

それは大きくて、逞しくて、

o川*;ー;)o「やっぱり……お兄ちゃんなんだね」

途端に涙腺が決壊した。

30 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 22:11:12.32 ID:lcjJgCHdO
o川*;ー;)o「大好き大好き大好きっ!!!」

遅すぎる愛の言葉を続けざまに発する。
そして私は、力無く倒れたお兄ちゃんの唇にそっと私のそれを当てた。

o川*;ー;)o「兄妹じゃなかったらなぁ」

自制できないほどの好意を抑えるのに、どれだけ苦労したか。
悲しいかな、もう、そんなことは必要ないみたいだけど。

o川*;ー;)o「本当に、大好きなんだよ」

そう言いつつ、腕全体を使ってお兄ちゃんを抱き締める。
……もう1度、キスしちゃおうかな。

32 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 22:12:44.49 ID:lcjJgCHdO
o川*;ー;)o「そういえばキスの時って、普通は目をつむるもんなのかなぁ?
       それとも……」


やっぱり、目は開けたままにしよう。
今のお兄ちゃんを見てあげられるのは、私だけなんだから。

o川*゚ー゚)o「ずっと離さない、最後まで見ててあげるよ」

( ФωФ)「………」


亡骸が、ふっと微笑んだような、そんな気がした。

私達を見下ろす空は暗く、しかし、どこまでも透明で……

34 名前: ◆Cs058I7w36 :2007/11/18(日) 22:14:26.15 ID:lcjJgCHdO
/ ,' 3「ふぅ……」

溜め息をつきつつ、1枚の写真を手にする。
中に写っているのは、明るい笑みを浮かべた若い女。

『ノパー゚)』

/ ,' 3「もっと早く、薬が完成しておればな……」

先の男は、上手く蘇生をさせられたのだろうか。

……本当に、柄にも無い心配を。
他人の命などどうでもいい、そう思っていた筈だが……。

/ ,' 3「やはり、重ねておるのじゃろうか」

あの男を、昔の自分と。
07/23|未完作品コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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