ノハ#゚⊿゚) ヒートは全力を尽くすようです!!  10スレ目
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4 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:40:20.85 ID:luPfYYl3O
Episode23、少女の悩み事



/ ,' 3「今日も来たぞ、ヒート」

(゚ワ゚ノ从「こんにちは荒巻さん!」

/ ,' 3「どうした、随分と機嫌がいいじゃないか」

(゚ー゚ノ从「実はね、実はね……お家に入ってからのお楽しみ!」

/;,' 3「何だそりゃ」

7 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:41:36.78 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚*ノ从「じゃじゃーん!」

小屋に入ってすぐにヒートが見せてきたのは、
彼女お手製のアップルパイだった。

/ ,' 3「おっ、凄いじゃないか。
     これでもう俺がアップルパイを持ってくる必要は……」

(゚ー゚;ノ从「そっ、それは駄目っ!!」

/ ,' 3「へっ?」

(゚ー゚;ノ从「なんというか……私と貴方との間に、何か繋がりみたいな物が欲しくって……」

繋がり、ねぇ。
アップルパイ、お前って奴は、単なるおやつから随分と出世したもんだな。

/ ,' 3「まあ、お前がそう言うなら仕方ないな」

(゚ー゚*ノ从「やったあ!!」

9 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:42:49.00 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚ノ从「あっ、それでね」

ヒートはそう言って手作りのパイの両端をちぎり、それらを俺に手渡してきた。

(^ー^ノ从「あげるね」

/;,' 3「嬉しいには嬉しいけど、端っこか……」

(゚ー゚;ノ从「ちっ、違うの、そういう事じゃなくて!
      えっと、昨日考えたんだけど」

( ー *ノ从「分からないかな、ほら、あげたのはアップルパイの両端って事は……」


アップルパイの両端?
ああ、もしかして……。


/ ,' 3「愛?」

(////;ノ从「わーっ、わーっ、声に出して言っちゃ駄目ぇえええええ!!」

/ ,' 3「ふっ」

(////;ノ从「馬鹿にしたように笑うのはもっと駄目ぇええ!!」

13 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:44:02.25 ID:luPfYYl3O
(;ー;ノ从「ううっ、感情が一周して泣けてきた」

/;,' 3「悪かった悪かった。
     だから泣き止めよ、な?」




( ー ノ从「……ふふっ」

(゚ー゚ノ从「慌てる荒巻さん、可愛い」

/;,' 3「年上の男を可愛い言うな」

(^ー^ノ从「はーい」

16 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:45:24.80 ID:luPfYYl3O
ヒートと出会ってからいつの間にか習慣化した事がいくつかある。
その内の一つが、ヒートの調理した晩御飯を彼女と共に食べる事だ。

(゚ー゚ノ从「よし、出来たよー」

彼女はそう言って二枚の大皿を運んできた。
片方の皿にはホットドックが、もう片方の皿にはサラダがそれぞれ盛られている。

(゚ー゚ノ从「今日は皆大好きホットドックだよー。
      ……といっても、ウインナ短めで山菜中心なんだけどね」

/ ,' 3「山菜ってと、昨日一緒に採ったやつか?」

(゚ー゚ノ从「そうだよ」

/ ,' 3「そりゃ食べるのが楽しみだな」

誰が採った山菜でも味なんか変わらない。
理屈ではそう分かっているが、
やはり自分で摘んだ物となると何か感じる所がある。

18 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:46:39.11 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚ノ从「それじゃ、いただきます」

/ ,' 3「いただきます」

美味い。
基本的に山菜とは癖が強い食材の筈だが、
ヒートの組み合わせ方の上手さも有ってか、存外に食べやすい。

/ ,' 3「流石は定員二名の満員レストラン」

(////ノ从「そっ、その言葉は忘れてよ……恥ずかしい」

/ ,' 3「ま、アップルパイの両端で愛ってのよりはいいんじゃないか?」

(;ー;#ノ从「この人はぁ……」

相変わらずコロコロと表情が変わる奴だ。
本当、見ていて飽きない。

(;ー;#ノ从「罰としてホットドックは没収、サラダだけ食べなさい!」

/;,' 3「ちょwwwwwwwww」


こんなやりとりも、悪くない。
ただ純粋に楽しかった。

19 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:48:29.85 ID:luPfYYl3O
会話が盛り上がり、食事も半分ほど済んだ時のこと。
ふと、玄関のドアを叩く音がした。

/ ,' 3「客か、珍しいな」

(゚ー゚ノ从「荒巻さんは食べてていいからね」

一言そう言い残すと、ヒートは玄関の方へと向かっていった。

( ´ー`)「……」

開いたドアの隙間からチラと見えた来訪者は、
非人間的な冷たい目が不気味な男だった。

……待てよ、あの男にはどこかで見覚えがある。


思い出した、あいつは高岡。
機械いじりで有名な、シラネーヨ高岡だ。

23 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:50:31.28 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚ノ从「たっだいまー」

/ ,' 3「ああ、おかえり」

(゚ー゚ノ从「なんか元気なさ気だね?」

ヒートはそう話しながらも椅子に腰掛け、食べかけだったホットドックを噛った。

(-ー-;ノ从「あちゃー、もう冷めてるや。
      困るなぁ、ボイルしたウインナは冷めると味が落ちるのに」

/ ,' 3「……」

(゚ー゚ノ从「ん、どうかした?」

/ ,' 3「いや、なんでもない」


高岡は何を目的にここを訪れた?

聞きたくて仕方がなかったその質問は、
しかしながら俺の中に住まう臆病心に押し留められた。

"もしかしたらそれを聞く事が俺達の平穏を壊してしまうかもしれない"、
しきりにそんな声を発する臆病心にだ。

24 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:53:07.63 ID:luPfYYl3O
/ ,' 3「っと、忘れるとこだった」

俺は一人呟くと、ポケットに手を突っ込んで目的の物を取り出した。

(゚ー゚ノ从「んー、それなぁに?」

/ ,' 3「ポラロイドカメラ、どういう機械かってのは流石に知ってるだろ?」

(゚ー゚ノ从「ああ、カメラかぁ」

/ ,' 3「実はこの前、偶然安く売ってるのを見つけてな。
     写真の一枚でも撮っておきたいし、思い切って買ったんだ」

(゚ー゚ノ从「そっかぁ、記念になるもんね……」

ん、何か気乗りしない様子だな。
喜ぶと思ったんだが、おかしいな。

26 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:54:36.84 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚ノ从「……あのね」

/ ,' 3「ん?」

( ー *ノ从「かっ、髪がぼさぼさなまま写るのは恥ずかしいかな、なんて……」

なるほど、都会住まいの少女のように、
きちんと整えられた髪型でないことが気になっていたのか。
それなら話は早い。

/ ,' 3「俺が綺麗に切ってやるよ」

(゚ー゚;ノ从「えええっ!?」

/ ,' 3「こう見えても器用なんだぞ、意外と。
     明日にでも散髪用のハサミを持ってくるから、そしたら切ろう」

(゚ー゚;ノ从「大丈夫……なの?」

/ ,' 3「俺を信用しろって」

(゚ー゚ノ从「うん、わかった」

31 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:57:13.63 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚ノ从「それじゃあ、また明日ね」

/ ,' 3「髪、可愛く切ってやるから、楽しみにしてろよ」

(^ー^ノ从「うん、待ってるね」

/ ,' 3「じゃあ」

俺はヒートの見送りを背に受けつつ、彼女の家を後にした。

/ ,' 3「さてさて、どんな髪型にするかな」

帰り道を辿りながら一人呟く。

今現在、彼女の髪はなかなか長く伸びている。
したがって、やろうとすればどんな髪型にでもできるだろう。

/ ,' 3「さて、あいつにはどんな髪型が似合うのやら」

32 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:58:46.34 ID:luPfYYl3O
/ ,' 3「肩に軽くかかる位の長さがいいな」

俺が散々悩んで導き出した結論は、それだった。
元気なあいつには、きっとそのぐらいの長さがぴったりに違いない。

/ ,' 3「……喜んでくれるだろうか」

できればヒートの満足いく状態で、あいつ最高の笑顔をおさめたいものだ。


明日は悲しい思い出を髪に吸わせ、バサリと断ち切ってやろう。
そして他の誰でもない、俺とヒートとで作った平穏に身を浸そう。


明日見せるあいつの笑顔は、何より輝いているに違いない。
俺はそう信じ切って止まないのである。

4 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:40:20.85 ID:luPfYYl3O
Episode23、少女の悩み事



/ ,' 3「今日も来たぞ、ヒート」

(゚ワ゚ノ从「こんにちは荒巻さん!」

/ ,' 3「どうした、随分と機嫌がいいじゃないか」

(゚ー゚ノ从「実はね、実はね……お家に入ってからのお楽しみ!」

/;,' 3「何だそりゃ」

7 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:41:36.78 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚*ノ从「じゃじゃーん!」

小屋に入ってすぐにヒートが見せてきたのは、
彼女お手製のアップルパイだった。

/ ,' 3「おっ、凄いじゃないか。
     これでもう俺がアップルパイを持ってくる必要は……」

(゚ー゚;ノ从「そっ、それは駄目っ!!」

/ ,' 3「へっ?」

(゚ー゚;ノ从「なんというか……私と貴方との間に、何か繋がりみたいな物が欲しくって……」

繋がり、ねぇ。
アップルパイ、お前って奴は、単なるおやつから随分と出世したもんだな。

/ ,' 3「まあ、お前がそう言うなら仕方ないな」

(゚ー゚*ノ从「やったあ!!」

9 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:42:49.00 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚ノ从「あっ、それでね」

ヒートはそう言って手作りのパイの両端をちぎり、それらを俺に手渡してきた。

(^ー^ノ从「あげるね」

/;,' 3「嬉しいには嬉しいけど、端っこか……」

(゚ー゚;ノ从「ちっ、違うの、そういう事じゃなくて!
      えっと、昨日考えたんだけど」

( ー *ノ从「分からないかな、ほら、あげたのはアップルパイの両端って事は……」


アップルパイの両端?
ああ、もしかして……。


/ ,' 3「愛?」

(////;ノ从「わーっ、わーっ、声に出して言っちゃ駄目ぇえええええ!!」

/ ,' 3「ふっ」

(////;ノ从「馬鹿にしたように笑うのはもっと駄目ぇええ!!」

13 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:44:02.25 ID:luPfYYl3O
(;ー;ノ从「ううっ、感情が一周して泣けてきた」

/;,' 3「悪かった悪かった。
     だから泣き止めよ、な?」




( ー ノ从「……ふふっ」

(゚ー゚ノ从「慌てる荒巻さん、可愛い」

/;,' 3「年上の男を可愛い言うな」

(^ー^ノ从「はーい」

16 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:45:24.80 ID:luPfYYl3O
ヒートと出会ってからいつの間にか習慣化した事がいくつかある。
その内の一つが、ヒートの調理した晩御飯を彼女と共に食べる事だ。

(゚ー゚ノ从「よし、出来たよー」

彼女はそう言って二枚の大皿を運んできた。
片方の皿にはホットドックが、もう片方の皿にはサラダがそれぞれ盛られている。

(゚ー゚ノ从「今日は皆大好きホットドックだよー。
      ……といっても、ウインナ短めで山菜中心なんだけどね」

/ ,' 3「山菜ってと、昨日一緒に採ったやつか?」

(゚ー゚ノ从「そうだよ」

/ ,' 3「そりゃ食べるのが楽しみだな」

誰が採った山菜でも味なんか変わらない。
理屈ではそう分かっているが、
やはり自分で摘んだ物となると何か感じる所がある。

18 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:46:39.11 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚ノ从「それじゃ、いただきます」

/ ,' 3「いただきます」

美味い。
基本的に山菜とは癖が強い食材の筈だが、
ヒートの組み合わせ方の上手さも有ってか、存外に食べやすい。

/ ,' 3「流石は定員二名の満員レストラン」

(////ノ从「そっ、その言葉は忘れてよ……恥ずかしい」

/ ,' 3「ま、アップルパイの両端で愛ってのよりはいいんじゃないか?」

(;ー;#ノ从「この人はぁ……」

相変わらずコロコロと表情が変わる奴だ。
本当、見ていて飽きない。

(;ー;#ノ从「罰としてホットドックは没収、サラダだけ食べなさい!」

/;,' 3「ちょwwwwwwwww」


こんなやりとりも、悪くない。
ただ純粋に楽しかった。

19 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:48:29.85 ID:luPfYYl3O
会話が盛り上がり、食事も半分ほど済んだ時のこと。
ふと、玄関のドアを叩く音がした。

/ ,' 3「客か、珍しいな」

(゚ー゚ノ从「荒巻さんは食べてていいからね」

一言そう言い残すと、ヒートは玄関の方へと向かっていった。

( ´ー`)「……」

開いたドアの隙間からチラと見えた来訪者は、
非人間的な冷たい目が不気味な男だった。

……待てよ、あの男にはどこかで見覚えがある。


思い出した、あいつは高岡。
機械いじりで有名な、シラネーヨ高岡だ。

23 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:50:31.28 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚ノ从「たっだいまー」

/ ,' 3「ああ、おかえり」

(゚ー゚ノ从「なんか元気なさ気だね?」

ヒートはそう話しながらも椅子に腰掛け、食べかけだったホットドックを噛った。

(-ー-;ノ从「あちゃー、もう冷めてるや。
      困るなぁ、ボイルしたウインナは冷めると味が落ちるのに」

/ ,' 3「……」

(゚ー゚ノ从「ん、どうかした?」

/ ,' 3「いや、なんでもない」


高岡は何を目的にここを訪れた?

聞きたくて仕方がなかったその質問は、
しかしながら俺の中に住まう臆病心に押し留められた。

"もしかしたらそれを聞く事が俺達の平穏を壊してしまうかもしれない"、
しきりにそんな声を発する臆病心にだ。

24 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:53:07.63 ID:luPfYYl3O
/ ,' 3「っと、忘れるとこだった」

俺は一人呟くと、ポケットに手を突っ込んで目的の物を取り出した。

(゚ー゚ノ从「んー、それなぁに?」

/ ,' 3「ポラロイドカメラ、どういう機械かってのは流石に知ってるだろ?」

(゚ー゚ノ从「ああ、カメラかぁ」

/ ,' 3「実はこの前、偶然安く売ってるのを見つけてな。
     写真の一枚でも撮っておきたいし、思い切って買ったんだ」

(゚ー゚ノ从「そっかぁ、記念になるもんね……」

ん、何か気乗りしない様子だな。
喜ぶと思ったんだが、おかしいな。

26 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:54:36.84 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚ノ从「……あのね」

/ ,' 3「ん?」

( ー *ノ从「かっ、髪がぼさぼさなまま写るのは恥ずかしいかな、なんて……」

なるほど、都会住まいの少女のように、
きちんと整えられた髪型でないことが気になっていたのか。
それなら話は早い。

/ ,' 3「俺が綺麗に切ってやるよ」

(゚ー゚;ノ从「えええっ!?」

/ ,' 3「こう見えても器用なんだぞ、意外と。
     明日にでも散髪用のハサミを持ってくるから、そしたら切ろう」

(゚ー゚;ノ从「大丈夫……なの?」

/ ,' 3「俺を信用しろって」

(゚ー゚ノ从「うん、わかった」

31 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:57:13.63 ID:luPfYYl3O
(゚ー゚ノ从「それじゃあ、また明日ね」

/ ,' 3「髪、可愛く切ってやるから、楽しみにしてろよ」

(^ー^ノ从「うん、待ってるね」

/ ,' 3「じゃあ」

俺はヒートの見送りを背に受けつつ、彼女の家を後にした。

/ ,' 3「さてさて、どんな髪型にするかな」

帰り道を辿りながら一人呟く。

今現在、彼女の髪はなかなか長く伸びている。
したがって、やろうとすればどんな髪型にでもできるだろう。

/ ,' 3「さて、あいつにはどんな髪型が似合うのやら」

32 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/16(日) 23:58:46.34 ID:luPfYYl3O
/ ,' 3「肩に軽くかかる位の長さがいいな」

俺が散々悩んで導き出した結論は、それだった。
元気なあいつには、きっとそのぐらいの長さがぴったりに違いない。

/ ,' 3「……喜んでくれるだろうか」

できればヒートの満足いく状態で、あいつ最高の笑顔をおさめたいものだ。


明日は悲しい思い出を髪に吸わせ、バサリと断ち切ってやろう。
そして他の誰でもない、俺とヒートとで作った平穏に身を浸そう。


明日見せるあいつの笑顔は、何より輝いているに違いない。
俺はそう信じ切って止まないのである。

34 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/17(月) 00:00:17.33 ID:GCV+Xm09O
Episode24、壊れ



(-ー-*ノ从「……」

布団にくるまりながら、私は今日一日を振り返る。

といっても、思い返すのはほとんどが荒巻さんと一緒にいた時間。
不思議な感情によって甘い味付けをされたそういう幸福な一時は、
回想するだけで優しい気持ちになれる。

(-ー-;ノ从「アップルパイで愛は、ちょっと恥ずかしいセリフだったかな?」

荒巻さんは呆れたように、だけど暖かに笑ってくれたっけ。

(゚ー゚ノ从「つまり、嫌では無かったってことだよね……」

自分が投げた好意に、好意を投げ返してくれる人がいるなんて、嬉しい。

一人で震えていたマッチ売りの少女は、幻覚にすら幸せを覚えたという。
それに比べて私のなんと恵まれている事。

36 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/17(月) 00:02:13.87 ID:GCV+Xm09O
(-ー-ノ从「明日も楽しみだなぁ」

自分で切り揃えた、少しボサボサな髪。
これを荒巻さんに切ってもらえるだなんて、思いもしなかった。
不安が無いと言えば嘘になるけど、それ以上に楽しみでもある。

(-ー-*ノ从「御礼に明日はとびっきりの料理を造ってあげよう」

(>〇<ノ从「ふわぁああ」

大きなあくびが一つ。

料理のメニューは明日考えればいいや。
今日の所は、夢に抱かれて眠るとしよう。

38 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/17(月) 00:03:50.35 ID:GCV+Xm09O
(-ー-;ノ从「ん……」

おかしい。

目が醒めて、小鳥のさえずりの喧騒に身を浸して、暖かな布団をなんとか引き剥がして。
そんないつもの朝と、今朝は明らかに異なっている。

薬臭い、誰かの話し声がする、床がやたら固い。

(゚ー゚;ノ从「ここは……」

目を開くと、ほら案の定。
想像した内で最悪かつ最有力だった場所、つまりは高岡研究所の手術室だった。

しかも私が逃げ出せないよう、キツめに拘束されている。

39 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/17(月) 00:05:59.66 ID:GCV+Xm09O
( ´ー`)「おや、お目覚めかね」

(゚-゚ノ从「高岡博士」

高岡研究所の所長、シラネーヨ高岡。
強い治癒力を持つ私の血を、研究用として定期的に買ってくれる博士だ。

(゚-゚ノ从「これはどういう事です?
      研究所に住み込む話は、昨日確かに断りました」

( ´ー`)「……少々焦れったくなってね、
       思い切った行動を取らせてもらったという訳だ」

生活費をくれるこの人に感謝はしていた、していたのだが……。
以前からどこか好きになれなかった。

私を再生者という名のカテゴリの研究材料としてしか見ていないという事が、
その蔑むような視線や口振りから伝わってきたかったからだ。

( - #ノ从「研究の為に誘拐をするだなんて、あなたは人のことを何だと思って……!」

( ´ー`)「シラネーヨ」


……最低だよ。

40 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/17(月) 00:07:20.94 ID:GCV+Xm09O
( ´ー`)「そもそもだ」

( - ノ从「……」

( ´ー`)「お前のような変異種が人を名乗るのも、おかしな話だと思うぞ」

( - ノ从「私は人間ですらない、そう言いたいの?」

( ´ー`)「そうだ」

確かに、私の身体は普通でない。
再生者だかなんだか知らないけど、他の人にすれば化け物と呼ぶに相応しいのだろう。

でも、人として最も大切なもの、心だけは正常なつもりだ。
そういう意味では高岡博士の方が、人と掛け離れているのでは無かろうか。

(;ー;#ノ从「私が人外なら、あなたもまた人外の化け物だよ!!」

( ´ー`)「馬鹿馬鹿しい」

彼はそう吐き捨て、何やら妙な器具をいじり出した。
真の狂人は自分が狂っている事にすら気がつかない、そんな言葉をふと思い出した。

43 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/17(月) 00:11:33.24 ID:GCV+Xm09O
/ ,' 3「ヒート、いないのか!?」

もう三度目にもなる呼びかけ。
だがしかし、それに対する返事はない。

/ ,' 3「やはり留守なのか……?」

俺は誰にともなく呟くと、玄関のドアに手をかけた。
どうやら鍵はかかっていなかったようで、ドアはたやすく開いた。

/ ,' 3「全く、無用心だな……」

これ幸いと中を覗いてみたが、やはり肝心のヒートの姿は見当たらない。

/ ,' 3「出掛けているのだろうか?」

いつも履いている靴は、入口に置きっぱなしなんだがなぁ。

44 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/17(月) 00:12:36.98 ID:GCV+Xm09O
普段ならそろそろ夕食後の談話を終え、帰宅し始めているような時間になった。
しかし残念ながらヒートは、結局帰って来なかった。

/ ,' 3「彼女の身に何かあったのだろうか?」

正直、不安で堪らない。
例えば山奥で足をくじいて動けずにいたとしたら……。
ドジなあいつならやりかねない。

/ ,' 3「……いや」

冷静に考えると、再生者なら足の怪我ぐらいすぐに治る筈だ。
つまりは怪我で動けずにいる心配などない訳だ。

しかしその代わりに、普通の少女に対しては必要のない懸念があることも思い出した。
懸念とはつまり、彼女の力を狙う研究者が存在するという可能性だ。

/ ,' 3「例えばそう、昨日ヒートを訪ねてきたシラネーヨ高岡なんか怪しいな」

あいつの研究所なら行ったことがある。
明日にでも訪ねるとするか。

46 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/17(月) 00:13:43.00 ID:GCV+Xm09O
翌日の夕方。

俺はヒートが家に帰っていない事を確認し、
その足でシラネーヨの研究所を訪ねた。

( ´ー`)「そんな女の事なんかシラネーヨ」

しかしシラネーヨはそう言って、ヒートの事を尋ねに来た俺を追い返した。

/ ,' 3「そうか、邪魔をした」

研究者としては正直シラネーヨの方が格上だ。
俺はあまり強く出ることもできず、そのまま研究所を去らざるを得なかった。

47 名前: ◆Cs058I7w36 :2008/03/17(月) 00:16:24.38 ID:GCV+Xm09O
/ ,' 3「はあっ……」

研究所兼自宅に着いてから、俺は真っ先にベッドへと倒れ込んだ。
と、服の右側についたポケットから嫌な感触が。

/ ,' 3「あーあ、パイが潰れちまった」

ヒートいわく、俺と彼女との繋がりの役目を果たしていたアップルパイ。
それが潰れたという事が、何だか変に気掛かりで。

/ ,' 3「……潰れたって本質は同じだ」

だから俺は潰れて食感の悪くなったそれを、
妙な不安を消す意味も込めて一気に平らげたのだった。



……あいつ、本当にどこ行っちまったんだろう。
明日も仕事が終わったら、直で向かうとしよう。




彼女との再会がどのような形のものになるのか、
この時俺は知る由も無かった。
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